【セキュリティ】パスキーとは? 仕組み・メリット・デメリットの解説

この記事は約13分で読めます。

🔐 パスキーとは? パスワードに代わる新しい認証方式

パスキー(Passkey)とは、従来のパスワードの代わりに、公開鍵暗号方式などの技術を利用して本人確認を行う認証方式です。

ログイン時には、指紋認証、顔認証、端末のPINコードなどを使って本人確認を行います。対応する端末やサービスであれば、パスワードを入力しなくてもログインできます。

例えば、パスキーに対応したWebサイトにアクセスした場合、ログイン画面でパスワードを入力する代わりに、スマートフォンの指紋認証や顔認証を利用できます。

これにより、複雑なパスワードを覚えたり、毎回入力したりする手間を減らせます。

パスキーが注目されている理由

従来のパスワード方式には、次のような問題があります。

  • 簡単なパスワードは第三者に推測される可能性がある
  • 複数のサービスで使い回すと、被害がほかのサービスにも広がるおそれがある
  • 偽サイトに入力すると、パスワードを盗まれる危険がある
  • パスワードを忘れると、再設定の手続きが必要になる
  • SMSなどで送られる認証コードを使う方式にも、詐欺や乗っ取りのリスクがある

パスキーは、こうした問題の一部を技術的に解決するために開発されました。

Apple、Google、Microsoftなどもパスキーに対応しており、さまざまなWebサービスやアプリで導入が進んでいます。

ただし、すべてのサービスが対応しているわけではありません。また、パスキーを利用しても、あらゆるサイバー攻撃を防げるわけではない点には注意が必要です。

⚙️ パスキーの仕組みを初心者向けに解説

パスキーの安全性を理解するためには、「公開鍵」と「秘密鍵」という2つの鍵の仕組みを知っておくとよいでしょう。

パスキーでは、公開鍵暗号方式を利用して、利用者が正しい認証情報を持っていることを確認します。

① 公開鍵と秘密鍵を生成する

Webサイトやアプリでパスキーを登録すると、端末などの認証機能を利用して、公開鍵と秘密鍵のペアが作成されます。

それぞれの役割は次のとおりです。

項目役割
公開鍵サービス側に登録され、ログイン時の署名検証に使われる
秘密鍵ログイン時に必要な電子署名を作成するために使われる
生体認証・PINコード端末側で本人確認を行い、秘密鍵の利用を保護する

公開鍵はサービス側に登録されますが、秘密鍵そのものをサービス側へ送る必要はありません。

秘密鍵は端末やパスキー管理サービスなどで保護されます。具体的な保存場所や同期方法は、利用する端末やサービスによって異なります。

② ログイン時に本人確認を行う

パスキーを登録したWebサイトにログインするときは、一般的に次のような流れになります。

  1. 利用者がWebサイトやアプリでログインを開始する
  2. サービス側から認証のためのランダムなデータが送られる
  3. 利用者が指紋認証、顔認証、PINコードなどで本人確認を行う
  4. 端末側で秘密鍵を使って電子署名を作成する
  5. サービス側が公開鍵を使って署名を検証する
  6. 認証が成功するとログインが許可される

この仕組みでは、パスワードを入力してサーバーに送信する必要がありません。

また、通常、指紋や顔の画像そのものがWebサイトへ送信されることもありません。生体認証は、端末側で本人確認を行うために使われます。

③ 偽サイトで悪用されにくい理由

パスキーの大きな特徴は、登録したWebサイトのドメインと認証情報が結び付いていることです。

例えば、正規の銀行サイトで登録したパスキーを、見た目が似ている偽サイトでそのまま使うことは通常できません。

従来のパスワードでは、利用者が偽サイトに気付かず入力してしまうと、第三者に盗まれる可能性がありました。

パスキーでは、正規のサイトに対応した認証が行われるため、こうしたフィッシング詐欺への耐性が高まります。

ただし、パスキーがあれば詐欺被害が完全になくなるわけではありません。不審な画面や認証要求に注意することは、引き続き重要です。

✨ パスキーのメリット5選

パスキーには、セキュリティと利便性の両面で多くのメリットがあります。ここでは、代表的な5つのメリットを紹介します。

メリット① フィッシング詐欺に強い

パスキーの代表的なメリットは、偽サイトによる認証情報の窃取を防ぎやすいことです。

従来のパスワード方式では、偽サイトにパスワードを入力すると、第三者に盗まれる危険があります。

一方、パスキーはWebサイトのドメインと結び付いているため、正規サイト用のパスキーを偽サイトでそのまま利用することは通常できません。

ネットショッピングやオンラインバンキングなど、安全なログインが重要なサービスで役立つ仕組みです。

メリット② パスワードを覚える必要がない

複雑なパスワードを設定しても、覚えられずにメモへ書き残したり、簡単な文字列を使ったりする人は少なくありません。

パスキーなら、対応する端末で指紋認証や顔認証などを利用できるため、パスワードを記憶する負担を軽減できます。

ログイン時の入力ミスや、パスワードを忘れたことによる再設定の手間も減らせます。

メリット③ パスワードの使い回しを防げる

同じパスワードを複数のサービスで使っていると、あるサービスで情報が漏えいした場合、ほかのサービスでも不正ログインされる危険があります。

パスキーはサービスごとに異なる認証用の鍵を利用するため、従来のパスワードのような使い回しの問題がありません。

1つのサービスの認証情報が漏えいしても、それだけで別のサービスのパスキーを利用できるわけではありません。

メリット④ サーバーからの認証情報漏えいに強い

従来のパスワード方式では、サービス側のパスワード管理方法によっては、データベースへの不正アクセスがパスワード流出につながることがあります。

パスキーでは、サービス側に登録されるのは基本的に公開鍵です。

公開鍵だけを入手しても、秘密鍵を使った認証を実行することはできません。そのため、認証情報の漏えいによる不正ログインのリスクを抑えられます。

ただし、サーバーに保存されている氏名、住所、決済情報など、ほかの個人情報まで自動的に保護されるわけではありません。

メリット⑤ ログインが簡単でスムーズ

パスワードの入力や認証コードの確認が不要になるため、ログイン操作を簡略化できます。

特に、スマートフォンを使って日常的に多くのサービスを利用する人にとっては、利便性を感じやすいでしょう。

パスキーのメリットをまとめると、次のとおりです。

  • フィッシング詐欺への耐性を高められる
  • パスワードを覚える負担を減らせる
  • パスワードの使い回しを防げる
  • 公開鍵を使った仕組みにより、認証情報漏えいのリスクを抑えられる
  • ログインの手間や入力ミスを減らせる

このように、パスキーは安全性と使いやすさを両立しやすい認証方式です。

⚠️ パスキーのデメリットと注意点5選

パスキーには多くのメリットがありますが、導入前に理解しておきたい注意点もあります。

デメリット① 端末の紛失や故障で困る可能性がある

パスキーを保存している端末を紛失したり、故障したりすると、ログインに必要な認証情報を利用できなくなる可能性があります。

ただし、パスキーが必ず失われるわけではありません。iCloudキーチェーンやGoogleパスワードマネージャーなどで同期されていれば、条件を満たす別の端末で利用できる場合があります。

一方、特定の端末だけに保存されているパスキーは、復旧が難しくなることがあります。

対策: パスキーの同期状態を確認し、重要なサービスについては、端末を紛失した場合の復旧手段を事前に調べておきましょう。

デメリット② 機種変更時に手間がかかることがある

スマートフォンを買い替えた場合、パスキーの保存先や同期方法によっては、以前と同じようにログインできないことがあります。

特に、異なるOSへ乗り換える場合は、パスキーの移行方法や利用できる管理サービスを確認する必要があります。

ただし、複数の端末やOSでパスキーを利用する方法も用意されているため、機種変更のたびに必ず再登録が必要になるわけではありません。

対策: 機種変更前に同期状態を確認し、重要なアカウントにログインできる状態で移行作業を行いましょう。

デメリット③ 対応していないWebサイトやアプリがある

パスキーは普及が進んでいますが、すべてのサービスが対応しているわけではありません。

従来どおりパスワードを利用するサービスもあれば、パスキーとパスワードを併用するサービスもあります。

対策: 利用中のサービスがパスキーに対応しているか確認し、未対応の場合は、サービスごとに異なる強固なパスワードを使用しましょう。

デメリット④ 端末や管理アカウントの保護が重要になる

パスキーは、端末のロック解除やパスキー管理サービスの仕組みを利用します。

そのため、スマートフォンのPINコードを第三者に知られたり、ロック解除された端末を他人に使われたりすると、不正利用につながる可能性があります。

また、パスキーをクラウドで同期している場合は、その同期先のアカウントも適切に保護する必要があります。

対策: 端末の画面ロックを設定し、推測されにくいPINコードや生体認証を活用しましょう。Apple AccountやGoogleアカウントなどの保護も重要です。

デメリット⑤ アカウント復旧の方法がわかりにくいことがある

パスワードを忘れた場合は、一般的に「パスワードを忘れた場合」という手続きから再設定できます。

一方、パスキーでは、端末の状態、同期の有無、サービスの本人確認方法などによって復旧手順が異なります。

端末を紛失し、同期も利用できず、ほかのログイン方法も用意していない場合は、アカウントを取り戻すのが難しくなる可能性があります。

対策: 登録済みのメールアドレスや電話番号を最新の状態に保ち、サービスが提供するアカウント復旧方法を確認しておきましょう。

📊 パスキーとパスワードの違いを比較

パスキーとパスワードは、どちらも本人確認に使われますが、認証の仕組みや安全性には大きな違いがあります。

主な違いを表にまとめました。

比較項目パスキーパスワード
認証方法公開鍵暗号方式を利用文字列による認証
ログイン操作生体認証やPINなどパスワードを入力
記憶の必要性基本的になしあり
フィッシング耐性高い偽サイトへの入力に注意が必要
使い回しサービスごとに異なる鍵を利用使い回すと被害が広がる可能性がある
サーバー側の認証情報基本的に公開鍵を登録パスワードを安全に管理する必要がある
端末紛失時同期や復旧方法によって異なるパスワードが分かれば別端末から利用できる場合がある
サービスの対応対応が必要広く利用されている

パスキーは、フィッシング詐欺への耐性やログインの利便性に優れています。

一方、パスワードは多くのサービスで利用できますが、推測されにくい文字列を設定し、使い回しを避けるなどの管理が必要です。

なお、パスキーとパスワードは必ずしも二者択一ではありません。サービスによっては、パスキーを利用しながら、別の認証方法を復旧用に設定できる場合もあります。

📱 パスキーはどの端末で使える? スマートフォン・パソコンの対応

パスキーは、対応するスマートフォン、タブレット、パソコンなどで利用できます。

ただし、実際の利用可否は、OSのバージョン、ブラウザ、サービスの対応状況、パスキーの保存先などによって異なります。

iPhone・iPadの場合

Appleの対応環境では、iCloudキーチェーンなどを通じてパスキーを管理できます。

同じApple Accountを利用する対応端末間で同期できる場合があり、機種変更時の利便性にもつながります。

ただし、同期が有効になっているか、対象のパスキーが同期対象かなどを確認することが大切です。

Androidの場合

Androidでは、Googleパスワードマネージャーなどを通じてパスキーを保存・同期できる場合があります。

Googleアカウントや端末の設定、サービスの対応状況によって利用方法が異なるため、利用中の環境を確認しましょう。

Windows・Macなどのパソコンの場合

対応するOSやブラウザでは、パソコン自体にパスキーを保存したり、対応するパスキー管理サービスを利用したりできます。

また、パソコンでログインするときに、スマートフォンを使って認証する方法が利用できる場合もあります。

ポイント: パスキーを利用するには、端末だけでなく、ログイン先のWebサイトやアプリも対応している必要があります。利用前に、サービスの公式案内を確認しましょう。

🛡️ パスキーを安全に使うための5つのポイント

パスキーの安全性を十分に活用するためには、登録するだけでなく、端末やアカウントを適切に管理することが重要です。

① 重要なアカウントから導入する

まずは、メール、金融サービス、SNS、オンラインショッピングなど、乗っ取られた場合の影響が大きいサービスから導入を検討しましょう。

特にメールアカウントは、ほかのサービスのパスワード再設定に使われることもあるため、適切な保護が重要です。

② 端末の画面ロックを設定する

パスキーを保存しているスマートフォンやパソコンには、画面ロックを設定しましょう。

指紋認証や顔認証を活用すると、第三者による不正利用のリスクを抑えやすくなります。

③ パスキーの同期状態を確認する

パスキーを同期できる管理サービスを利用する場合は、同期が有効になっているか確認しましょう。

ただし、すべてのパスキーが同じ方法で同期されるわけではありません。サービスごとの仕様を確認することが大切です。

④ アカウントの復旧手段を確認する

端末の紛失や故障に備えて、メールアドレス、電話番号、バックアップ端末など、利用できる復旧手段を確認しておきましょう。

復旧方法はサービスによって異なるため、重要なアカウントは事前の確認をおすすめします。

⑤ 不審な認証要求には注意する

パスキーはフィッシング詐欺に強い仕組みですが、偽のサポート窓口や詐欺メールなど、別の手口による被害まで完全に防ぐものではありません。

身に覚えのない認証要求や、不審な画面が表示された場合は、安易に操作を進めないようにしましょう。

❓ パスキーに関するよくある質問

ここでは、パスキーについてよくある疑問をQ&A形式で紹介します。

Q1. パスキーは無料で使えますか?

多くの場合、パスキーの登録や利用自体に追加料金はかかりません。

ただし、利用する端末、通信環境、サービスの提供条件などによって異なる場合があります。詳細は各サービスの公式案内をご確認ください。

Q2. 指紋や顔の情報はWebサイトに送信されますか?

通常、指紋や顔の画像そのものがWebサイトに送信されることはありません。

生体認証は端末側で本人確認を行うために使われ、その結果に基づいて秘密鍵による署名が作成されます。

ただし、実際の認証方法やデータの取り扱いは、端末やサービスの仕様によって異なります。

Q3. スマートフォンを紛失したら、パスキーは使えなくなりますか?

必ずしも使えなくなるわけではありません。

パスキーが対応する管理サービスを通じて同期されていれば、条件を満たす別の端末で利用できる場合があります。

一方、端末にしか保存されていない場合は、復旧が難しくなる可能性があります。端末を紛失した場合の手続きは、利用するサービスの公式案内を確認しましょう。

Q4. パスキーがあれば、パスワードは完全に不要になりますか?

すべてのサービスで不要になるわけではありません。

パスキーに対応していないサービスでは、引き続きパスワードが必要です。また、対応サービスでも、設定や復旧方法によって別の認証手段が用意されている場合があります。

Q5. パスキーなら絶対に不正ログインされませんか?

いいえ。パスキーは安全性を高める技術ですが、あらゆる攻撃を完全に防ぐものではありません。

端末の不正利用、アカウント管理の不備、詐欺による情報の詐取など、別のリスクも存在します。

パスキーを利用するとともに、端末のロック、OSの更新、アカウントの保護などを継続することが大切です。

Q6. パスキーと二段階認証は何が違いますか?

二段階認証は、パスワードに加えてSMSコードや認証アプリなど、別の要素で本人確認を行う仕組みです。

パスキーは、公開鍵暗号方式を利用した認証方式で、対応する環境ではパスワードを使わずにログインできます。

パスキーは、利用者の操作とサービスの実装によっては、パスワードと別の認証要素を組み合わせる方式よりも簡単に、かつ高いフィッシング耐性を実現できます。ただし、認証方式の安全性はサービス全体の設計にも左右されます。

📝 まとめ パスキーは安全性と利便性を両立しやすい認証方式

パスキーは、公開鍵と秘密鍵を利用して本人確認を行い、パスワードを入力せずにログインできるようにする認証方式です。

指紋認証や顔認証などを利用できるため、ログインの手間を減らしながら、従来のパスワード方式で問題となっていた使い回しやフィッシング詐欺のリスクを抑えやすくなります。

一方で、端末の紛失、機種変更、サービスの未対応、アカウント復旧などには注意が必要です。

この記事のポイントを振り返りましょう。

  • パスキーとは: パスワードの代わりに公開鍵暗号方式を利用する認証技術
  • 主なメリット: フィッシング詐欺への耐性、ログインの簡便さ、パスワード管理の負担軽減
  • 主なデメリット: 端末紛失時の対応、機種変更時の確認、サービスごとの対応状況
  • 安全な使い方: 端末の保護、パスキーの同期確認、アカウント復旧手段の準備

パスキーを導入する際は、まず利用頻度が高く、重要なアカウントから設定し、端末を紛失した場合の復旧方法も確認しておきましょう。

安全性と使いやすさを両立させるためには、パスキーを活用するだけでなく、端末やアカウントを適切に管理することが重要です。

これからパスキーを利用する方は、対応サービスの公式案内を確認し、ご自身の環境に合った方法で導入してみてください。

タイトルとURLをコピーしました